温泉といえば、真っ先に「リラックス」「旅館」「露天風呂」などをイメージする方が多いかもしれません。実は近年、「温泉水を飲む」というスタイルが、美容や健康を気にする人たちの間でちょっとしたブームになっています。飲泉文化は古くから一部の温泉地に存在していたものの、以前はマイナーなイメージでしたよね。ところが今や、有名芸能人が飲んでいるとか、SNSで“超軟水”として話題だとか、いろいろなところで見聞きするようになりました。
そこで本稿では、「温泉水って何が普通の水と違うの?」「どうやって選べばいいの?」という疑問を、専門家(アクアソムリエさんや栄養士さん)にインタビューした内容も踏まえて解説していきます。温泉水に興味はあるけど、なんだか敷居が高いな…と思っていた方は、この機会にざっくりでも知識を仕入れてみてください。もしかすると、健康や美容のサポートとしてうまく利用できるかもしれません。
目次
- 温泉水について
- 1. 温泉水ってそもそも何?—定義と特徴
- 2. 温泉水に含まれる成分:シリカやミネラルに注目
- 3. 温泉水の効果って本当?期待されるメリット
- 4. 専門家インタビュー:温泉水を飲む理由とは
- 5. 温泉水の選び方:チェックすべきポイント
- 6. Q&A:よくある疑問に答えます
- 7. 注意点とリスク管理
- 8. まとめ:温泉水との付き合い方
1. 温泉水ってそもそも何?—定義と特徴

● 温泉水の定義
温泉法によると、「地中から湧出した水(液体・水蒸気・ガスなど)で、一定の温度や成分を満たすもの」が“温泉”として認められます。温度や含有成分によって分類され、たとえば「炭酸水素塩泉」「硫黄泉」「食塩泉」などと呼ばれるのが一般的ですね。温泉旅館に行くと“○○泉”という表記をよく見かけるのはそのためです。
一方で、「温泉水」という名称で市販されている飲料は、そうした温泉源から採水してボトリングした“飲用可能な天然水”を指すケースが多いです。源泉によっては成分的にクセが強かったり、そもそも飲むのに適していない場所もあるため、すべての温泉が「飲泉OK」というわけではありません。
私の感覚だと、温泉水というと真っ先に思い浮かぶのは「超軟水」で有名な某ブランドや、アルカリ度の高い商品群ですね。実際、日本国内で商品化されている温泉水は、硬度が低くてサラッと飲みやすいものが多いみたい。これは地層や火山活動など、日本の地質に由来する部分が大きいそうです。
● 普通のミネラルウォーターとの違い
では、いわゆる“ミネラルウォーター”とは何が違うのか。簡単にいえば「採水源が温泉かどうか」という部分が最大の違いでしょう。ミネラルウォーターと呼ばれるものも、地下水や湧水であることに違いはありません。が、“温泉”と認められるかどうかは法律上の基準があり、決定的なのは湧出時の温度や成分量という点です。
もっとも、実際に口にする際は「普通の天然水と同じ感覚」だと感じる人も多いですね。むしろ、温泉水のほうがクセがなくスッキリしている、という声さえあります。温泉というネーミングから「いかにも硫黄の香りがしそう…」と敬遠してしまう方もいるかもしれませんが、商品化されているものは基本的に匂いもほぼ感じません。
2. 温泉水に含まれる成分:シリカやミネラルに注目

● 代表的なミネラル
温泉水には、シリカ(ケイ素)をはじめ、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど、さまざまなミネラル成分が含まれます。とくに“シリカ”が豊富だとアピールしているメーカーが多い印象です。シリカといえば爪や髪、骨や血管などのコラーゲン構造に関連しているとも言われ、美容・健康面で注目されている成分の一つですね。
私が某メーカーさんに取材したときも、「もともと温泉水は地下深くから湧き出るので、地層の成分が溶け込んでミネラルバランスが独特になるんです。結果、シリカや炭酸水素イオンなどが多く含まれるケースが少なくありません」と伺いました。
● pH値や硬度の特徴
温泉水というと、アルカリ性のイメージが強いかもしれません。実際、pH8~9前後の“強アルカリ性”を示す商品も存在します。ただし、これは源泉によって大きく異なり、中性寄りのpH7付近の温泉水もあれば、pH9以上になるものもあるようです。強アルカリの水は独特のまろやかな舌触りを感じる人も多く、「飲みやすい」と感じるかどうかは個人差があるかもしれません。
いっぽう、“硬度”については多くの国産温泉水が「超軟水」分類に入ります。100以下、なかには10以下という超が付くほど低い硬度の商品も。普通のミネラルウォーターや海外の硬水が苦手という方にとっては、この超軟水ならではのサラッと感が魅力になるのではないでしょうか。
3. 温泉水の効果って本当?期待されるメリット

● 一般的に言われる効果
温泉水を定期的に飲むことで、以下のようなメリットが期待されるとよく謳われています。
- 美容面でのサポート:シリカや炭酸水素イオンが、肌や髪、爪などのケアに良い影響をもたらす可能性
- 胃腸へのやさしさ:アルカリ性の超軟水が胃への刺激を少なくし、まろやかで飲みやすい
- ミネラル補給:現代人が不足しがちなミネラルを手軽に取り入れられる
実は私自身、コーヒーやお茶を飲むときにも一度温泉水で淹れてみたことがあります。これはあくまで個人の感想ですが、少し甘みが増したように感じました。アルカリ度が高いと苦味を和らげるとか、まろやかにする効果がある、なんて話も聞きますが、科学的に厳密な検証が進んでいるわけではないようです。ただ、「なんだかおいしい気がする」という感覚は、飲み続けるモチベーションに繋がりやすいかもしれません。
● 医学的エビデンスの現状
ただし、「温泉水を飲んだらすぐ病気が治る」といった確固たるエビデンスは、まだはっきりしていません。実際、専門の栄養士さんに話を伺うと「地下資源由来のミネラルがバランスよく含まれる可能性は高いが、健康効果には個人差がある」とのこと。また、温泉の成分そのものを口にするわけですから、塩分や硫酸イオンなどが多い場合は逆に身体への負担が増すケースも考えられます。
したがって、あくまでも「美容と健康をサポートする一つの選択肢」という位置づけで考えるのがいいでしょう。「温泉水を飲むだけで全身の悩みが消える!」といった誇大広告には注意が必要です。
4. 専門家インタビュー:温泉水を飲む理由とは

ここで、アクアソムリエ兼管理栄養士の資格を持つKさんに聞いた「温泉水を飲む理由」について簡単にまとめてみましょう。Kさんはホテルの飲料部門で経験を積み、各地の天然水や温泉水のテイスティングを行ってきた方です。
Q. なぜ温泉水が今、人気なんでしょう?
Kさん「ひとつには飲みやすさが大きいです。国産の温泉水の多くは硬度が低く、アルカリ性かつ微量のミネラルが効率よく溶け出しているので、“まろやかな味わい”になりやすい。一般の軟水よりもさらに口当たりが柔らかいと感じる人も多いようです。また、美容や健康意識が高い方が、シリカをはじめとするミネラル成分に着目しているのも背景にあると思います。」Q. 具体的にどういう方におすすめですか?
Kさん「硬水が苦手な方、それから胃腸の負担を避けたい方には一度試してみる価値があるでしょう。ただし、いくら軟水とはいえ、飲みすぎると体液バランスを崩すリスクはゼロではありません。普通の水と同様に、1日1~2リットルを目安に少しずつ摂るのがベターですね。あとは持病や食事制限がある場合、塩分量などもチェックしたほうがいいです。」Q. 長く続けるコツは?
Kさん「結局、水は味の好みが分かれるところ。続けられるかどうかは、味が自分に合うか、コストが負担にならないかがポイントでしょう。あと、料理やコーヒー・お茶に使ってみるのもおすすめです。温泉水のまろやかさが活きて、素材の味を引き立てることもありますよ。」
なるほど。やはり「おいしく飲めるかどうか」が最大の鍵になりそうです。いくら体にいい成分が含まれていても、嫌いな味なら続きませんもんね。
5. 温泉水の選び方:チェックすべきポイント

1) 含有成分のバランス
- シリカ含有量:シリカ水を意識したいなら、1Lあたり何mg含まれているのかをチェック。
- ナトリウム量:温泉水によっては塩分が多めの場合があります。高血圧が気になる方は注意して。
- 炭酸水素イオンやカルシウム、マグネシウムなど:ラベルや公式サイトで公表されていれば要確認。
2) pHと硬度
- pH値:アルカリ性の強い水が好きな人はpH8以上を目安にするといいかも。
- 硬度:超軟水を探すなら、硬度100以下、できれば50以下あたりが“飲みやすい”と感じる人が多いみたい。
3) 味わいや価格帯
- 毎日飲むなら、継続しやすい価格であることも重要。500ml1本あたり200円を超えると割高感が出るかもしれません。定期購入で割引があるブランドも。
- そもそも味が合わなければ続かないので、最初は少量パックやお試しセットで試飲するのがおすすめ。
4) 産地や採水方法
- 「どこの温泉地なのか」をチェックしてみるのも面白いですよ。行ったことのある土地なら愛着が湧くかもしれません。
- “非加熱”や“加熱殺菌済み”など、製造工程の違いでも味が変わる可能性があります。
6. Q&A:よくある疑問に答えます

Q1. 温泉水って沸騰させたら成分が変化する?
A. 基本的には、大きく変化しないとされますが、長時間沸騰させるとミネラル成分が一部沈殿してしまう場合があります。また、硫黄や炭酸など揮発性の成分があれば失われるかもしれません。しかし、商品化されている飲む温泉水はそもそも匂いが少ないので、大きく味わいが変わることは少ないでしょう。ちなみに、私の知人は温泉水でお米を炊くのが好きだそうで、「口当たりがより柔らかくなる」と喜んでいました。
Q2. 妊娠中や授乳期でも飲める?
A. 一般的に「温泉水だからNG」ということはありません。ただし、ナトリウム量や他のミネラル量が過剰にならないように注意が必要です。特に妊娠中は塩分の摂取に気をつける場合が多いので、選ぶブランドによっては塩分が高めのものを避けたほうがいいかもしれません。不安なら主治医に相談すると安心です。
Q3. 温泉水を使って洗顔やスキンケアしてもOK?
A. これも商品次第ですが、肌が弱い人やアトピー体質の人が、温泉水で肌をすすぐと調子が良くなるケースもあるようです。ただし、あまり高温で洗顔すると肌が乾燥するので注意。販売会社によっては“フェイススプレー”のような形で温泉水を謳う商品も見られます。
Q4. 1日にどのくらい飲めばいい?
A. 一般的な水分摂取の目安は1~2リットル程度と言われています。ただ、発汗量や運動量、季節、体格などによって異なるため、一概には言えません。「水分を摂りすぎるとむくむ…」という人もいますし、無理なくこまめに取り入れるのがベストです。
7. 注意点とリスク管理

● 過剰摂取はNG
いくら身体によさそうとはいえ、がぶ飲みして極端に水分量が増えすぎると、低ナトリウム血症などのリスクが高まります。よほど特殊な状況でないかぎり、そこまで問題にならないでしょうが、「1日3~4リットルくらいなら大丈夫」という思い込みは危険。体調に異変を感じたら早めに中断してください。
● 持病のある方は医師に相談
腎臓病や心臓病などがある場合、水分やナトリウムの摂取量を制限しなければならないことも。また、高血圧や妊娠高血圧症候群のリスクを指摘されている方も、温泉水だからといって無制限に飲むのは避けたほうが無難です。
● 成分表記をよく確認する
温泉水の多くはラベルや公式サイトに成分分析表を載せています。ナトリウムやカルシウム、シリカがどのくらい含まれているのかを確認すると、選ぶ際に役立ちます。逆に、その情報を開示していない商品に対しては、疑問を持って問い合わせてみるのもありかもしれません。
8. まとめ:温泉水との付き合い方
ここまで読んでいただき、温泉水に対するイメージは少し変わったでしょうか。私自身も、最初は「硫黄のにおいが強い水を無理やり飲むんじゃないか?」なんて想像していましたが、実際には無臭でまろやか、しかも硬度が低いのでクセが少ないという商品が多い印象です。ある意味、普通のミネラルウォーターよりも“やさしく飲みやすい”と感じるケースが多いかもしれません。
もちろん、温泉水を飲めばすべての不調が解決するわけではありません。あくまで健康や美容を支える選択肢のひとつとして考えるのが現実的です。でも、「どうせお水を飲むなら、ちょっとだけ美容や健康にいい成分が入っているほうが嬉しいし、気分も上がる!」という気持ちはわかります。私も実際に、食事の前後に温泉水を一杯飲むだけで、なんだかリラックス効果がある気がして続けやすかったですね。
もし興味が湧いたら、まずは小さめのボトルやお試しパックを買ってみてください。飲んでみて「これなら継続できそう」というものを見つけたら、定期購入やまとめ買いを検討してみるのも手でしょう。最近はネット通販も充実していますし、ドラッグストアでもちょっと変わったミネラルウォーターが置いてあることもありますよね。
飲み物は日々の生活に密接に関わる存在です。だからこそ、ほんの少し意識を変えてみるだけで健康や美容のモチベーションが高まったり、リラックス効果を感じたりできるのは嬉しいところ。ぜひ、自分に合った温泉水を見つけて、気長に楽しんでみてはいかがでしょうか。

